インタビューのプロがやっている100の聞き方/事前準備編/#019『会う前に、「こんな人かも」と仮説を立てておく』

野球のバッターは、ピッチャーの投げた球を、来た瞬間に判断して打っているわけではないそうです。相手の持ち球や性格、ボールカウントから「次はこう来るだろう」と予想を立てておいて、そして初めて来た球に合わせてバットを出す。だからこそ、あの速い球に反応できるんだとか。
実は、話を聞く仕事も、これとよく似ています。
僕は大事な会話の前に、調べた情報をもとに「この人は、たぶんこういう人なんじゃないか」という仮説を立てておきます。たとえば、脱サラして飲食店を開いた方に話を聞くなら、「会社員時代に、何か決定的な出来事があったのでは」「開業直後に、お金の面でかなり苦労したのでは」といった具合です。一つに絞らず、いくつかパターンを用意しておくのがポイントです。
そして当日、話を聞きながら「この方は、二つ目のパターンに近いな」と見当をつけ、そちらの方向に質問を寄せていきます。半分は準備、半分はアドリブ。仮説がなければ、会話はどこへ向かえばいいか分からず、ただ漂うだけになってしまいます。
もちろん、仮説は外れることもあります。というか、しょっちゅう外れます。でも、それでいいんです。「会社員時代に、辛い出来事があったんですか」と聞いて、「いや、別になかったですよ。運が良かったんです」と返ってきたら、「例えばどんな運の良いことがありました?」と聞けばいい。そこから本題が始まります。外れた仮説も、正解を引き出すための呼び水になってくれるんです。
気をつけたいのは、仮説を「決めつけ」にしないことです。自分の予想に相手を無理やり当てはめようとすると、相手は窮屈になって、口を閉ざしてしまいます。仮説は、あくまで道しるべ。違ったら、すぐに方向転換すればいいんです。
むしろ怖いのは、何の予想も持たずに臨むことです。聞くことが思いつかず、「へ〜、そうなんですね」を繰り返すうちに、時間だけが過ぎていく。僕も駆け出しの頃は、何度これをやらかしたか分かりません。
商談なら「この会社は今、人手不足に悩んでいるのでは」。久しぶりに会う友人なら「転職して、少し疲れているのかも」。そんな小さな予想を一つ持っておくだけで、会話の最初の一歩が、ずっと踏み出しやすくなりますよ。
※この文章は「魅力引き出しインタビュアー養成講座」のテキストや講義の音声データをもとにAIを活用して作成しています。
(きいてかく合同会社代表/プロインタビューライター いからしひろき)




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