きいてかく通信vol.19/今日は何の日?──あの身近な素材の雑学アレコレ!

突然ですが、今日10月1日が何の日か、ご存じですか?
都民の日、コーヒーの日、日本酒の日……いろいろありますが、今回の答えはこちら。
答えは、川上産業が「プチプチ株式会社」に社名を変えた日!
えーっと、川上産業って?
段ボールを開けると必ずといっていいほど入っている、あの気泡入りのシート。その名も「プチプチ」を作っているのが川上産業。実は、今日10月1日から「プチプチ株式会社」として新たなスタートを切りました。1968年の創業以来、58年目にして初めての社名変更だそうです。
せっかくなので今回は、明日誰かに話したくなる「プチプチ」の雑学をいくつかお届けします。
① 「プチプチ」は、実は商品名だった
誰もが当たり前のように「プチプチ」と呼んでいますが、実はこれ、一般名称ではなく登録商標です。正式には「気泡緩衝材」といいます。
当初の商品名は「エア・バッグ」でした。ところが先代社長が「クッキー缶に入っている、指でつぶすとプチッと音がする、プラスチックで透明な……」と説明しても、なかなか相手に伝わらない。指でつぶす仕草をしてみせると、すぐに「ああ、プチプチでしょ!」。それなら最初からそう名乗った方が早いと商標を出願し、1994年に登録されました。
自分たちの言葉で説明するより、相手がすでに使っている言葉に合わせる。商品名の付け方として、なんとも潔い話です。
② つい潰したくなるのには、理由がある
プチプチを見ると、なぜか指が勝手に動いてしまう。これには心理学で「アフォーダンス」と呼ばれる現象が関係しているそうです。ボタンがあると押したくなる、取っ手があると引きたくなる。ものや環境が人に「こうしてごらん」と働きかける作用のことで、プチプチをつぶしたくなるのも、その一種なのだとか。
ちなみに、一度つぶれた気泡が元に戻らないのは、フィルムの中に空気を閉じ込めて粒を作っているから。フィルムが破れると、空気が抜けてしまうというわけです。
③ 「プチプチの日」は8月8日
記念日まであります。8の字が粒の並びを連想させること、「8(パチ)」の読みが「プチ」に通じることから、8月8日が「プチプチの日」。1999年末、先代社長がお菓子メーカーの記念日を紹介する本を読んで思い立ち、日本記念日協会に自ら電話をかけて申請したそうです。
④ 種類は、細かく数えると1000種類以上
厚み、粒の大きさ、形、静電気防止などの特殊加工、封筒タイプや印刷入り……と細かく数えていくと、なんと1000種類以上。粒の直径も7ミリほどの小粒から32ミリの大粒まであり、お菓子や文具から車の部品、農業資材、建材まで、包むものに合わせて使い分けられています。
⑤ チリの地下で、プチプチが鳴っていた
個人的にいちばんグッときたのがこの話です。2010年、チリの鉱山で落盤事故が起き、作業員の方々が地下に閉じ込められました。少しでも気持ちが和らげばと、同社はチリ大使館を通じてプチプチを贈ったそうです。
実際に届いたかどうかもわからないままでしたが、後に救出された作業員が「プチプチで遊んだ」とコメントしていたことを知り、驚くとともに嬉しく思ったといいます。
あの小さな「プチッ」という音が、地球の裏側の地下深くで鳴っていた。物を包むだけでなく、人の心をほぐす力もあるのだと思うと、なんだか胸が熱くなります。
⑥ そして、今日の社名変更へ
今やプチプチの原料の98%(2025年度)は再生原料。使用済みのプチプチを回収して再び製品に戻す「ループリサイクル」を進めていて、リサイクルボックスの設置台数は2026年7月末時点で555台にまで広がっています。
商品名として長年育ててきた「プチプチ」を社名に掲げるのは、気泡緩衝材の名前にとどまらず、資源循環を支えるブランドとして育てていきたいという想いから。いつも主役を包んで守ってきた“脇役”が、今日、晴れて会社の顔になったわけです。
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……と、ここまでさも物知りのように書いてきましたが、白状すると、どれも取材で教えていただいた話です。
先日、日刊ゲンダイの連載「目からウロコ 大人の寺子屋」で、川上産業(現・プチプチ株式会社)プチプチ文化研究所 所長の杉山彩香さんにお話を伺いました。ちなみに「プチプチ文化研究所」は、梱包以外の用途で使われるプチプチを「プチプチ文化」と定義し、調査や創作活動を行っている社内の研究所です。名刺に「プチプチ文化研究所」と書ける仕事、正直ちょっと羨ましいです。
記事には、今回書ききれなかった話も載っています。よろしければ、ぜひご覧ください(無料のメルマガ会員登録でもお読みいただけます)。
▼ 日刊ゲンダイDIGITAL「目からウロコ 大人の寺子屋」
あのプチプチは実は商品名だった! 知って損のない気泡緩衝材の世界
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五十嵐裕樹
きいてかく合同会社
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