【一日一言(いちにちひとこと) 0715水】地方でも輝ける時代──島根県浜田市・齋藤アルケン工業のメディア戦略に学ぶ
- きいてかく合同会社代表_いからしひろき

- 7月15日
- 読了時間: 5分

コロナで仕事の仕方が変わった
インタビューの仕事をしていると、時代の節目を実感する瞬間がある。
10年ちょっと前は、リーマンショックがひとつの節目だった。世界中でお金の流れが止まり、その後どう立て直したかという武勇伝が、取材現場でも語られるようになった。
けれど、それ以上に世の中を大きく変えたのは、やはりコロナ禍だった。リーマンショックは主にお金の流れが止まっただけで、実生活への影響は限定的だったが、コロナ禍は外出自粛や後遺症など、生活そのものに影響を及ぼした。特に対面が前提の仕事、サービス業は大きな打撃を受け、僕のようなライター業も例外ではなかった。一時期は店舗取材や旅行取材の依頼がほぼゼロになり、廃業したライターも少なくなかった。
それでも何とか辛抱強くやってきて、気づけばコロナ禍という言葉自体、あまり聞かなくなった。でも、その間にライターの仕事のあり方は、コロナ前とはっきり変わったと思う。
いちばん大きいのは、取材方法の変化だ。個人的な話をすると、コロナで店舗取材や旅行取材ができなくなったタイミングで、インタビュー取材に軸足を移したことが、今の「インタビューライター」という肩書き、そして会社の立ち上げにつながっている。「経営者インタビューが得意で強みだった」ということも、コロナというピンチのなかで初めて自分自身で発見したことだった。
オンラインツールの普及という恩恵
もうひとつの変化は、オンライン取材が当たり前になったことだ。時間と場所を選ばずに、世界中の誰にでも取材できるようになった。ブックライティングでは著者にインタビューして文章に起こす作業が中心だが、今やその9割以上がオンラインだ。以前、ニューヨーク在住の人材コンサルタントの女性を取材した際は、時差の関係で毎回夜8時から東京とニューヨークをつなぎ、合計10時間以上のインタビューを重ねたが、距離をまったく感じさせなかった。
そして、企業側にとって大きいのは、地方であることがPR戦略上デメリットではなくなったことだ。かつては地方に面白い会社があっても、出張費が出ずに取材を断念することが少なくなかった。でも今は、オンラインツールと写真さえあれば記事として成立する。これはライターにとっても、企業にとっても、大きなメリットだと感じている。
地方にいることは弱点ではない
先週も、日刊ゲンダイでそうした地方企業を取材した記事が掲載された。
タイトルは「もうけびとに聞く金儲けの秘訣」。人手不足が深刻な介護業界で「選ぶのに困るくらい人が来る」という、島根県浜田市・齋藤アルケン工業の代表取締役、齋藤憲嗣さんへの取材だ。
人口5万弱の浜田市を拠点に、介護事業・食事提供事業・遺品整理事業の三本柱で、3社合算の年商は5億円規模。地方では限られたパイを奪い合いがちな介護業界で「選ぶのに困るくらい人が来てくれる」という状態は、業界を知る人ほど驚く数字だ。
その鍵を握るのが、独自のメディア戦略だった。フェイスブックを友達限定から全公開に切り替え、新事業を立ち上げるたびに必ずプレスリリースを出すようにしたところ、少しずつ取材が増えていったという。齋藤さんいわく、「テレビや新聞に出ると、ハローワークの担当者の記憶に残る」。地方はコミュニティが密なぶん、一度のメディア露出が都市部の何倍もの口コミ効果を生み、営業先でも「テレビで見た」の一言で扉が開くのだそうだ。
後編では、5000万円超の借金・離婚・シングルファーザーとしての育児という三重苦を乗り越えたV字回復のエピソードにも触れている。「やりたいことより、地域が求めることをやる」という経営哲学、遺品整理事業でのゴミ収集会社とのアライアンス、スタッフの人生ごと応援する組織文化など、地方経営のヒントが詰まった内容になった。
詳細は以下より(無料のメルマガ登録でも読めます)
▼ 日刊ゲンダイDIGITAL nikkan-gendai.com/articles/columns/4378
地方は宝の山だが……
正直、今は地方の方が面白い企業に出会える実感がある。大阪にはゴキブリ駆除に特化して大成功している会社があるし、愛知にはペットの皮膚病に特化したスキンケア商品の通信販売で成功している動物病院もある。ビジネス的には厳しい環境だからこそ、アイデアと工夫で生き残るタフな企業が多いのかもしれない。企業や経営者を取材するライターにとって、地方はまさに宝の山だと感じている。
とはいえ、「こんな取り組みをしています」と発信するだけでは、なかなかメディアの取材にはつながらない。地方であればニュースソースの少なさゆえにイベント開催や新サービス立ち上げで取材してもらえることもあるが、人もモノも会社も多い首都圏のメディアでは、切り口にひねりやアイデアが必要だ。
そこで弊社では企業のPRストーリー構築に伴走するサービスを用意した。
興味があれば検討していただければ幸いだ。
(きいてかく合同会社 代表/プロインタビューライター いからしひろき)



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