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巷で話題の「ブックライターいない問題」に対する考察その3〜で、ブックライティングで食えていけるの?〜

更新日:1月25日




ブックライター不足という話題がXのライター界隈でいま盛り上がっています。その理由について、特質の側面から考えてみたのが以下の第一回でした。



どうすれば経験できるかという問題については第二回で触れました。



第三回(最終話)のテーマはこちら。


経験を積む積まないとは別に「ブックライティングで食えていけるか」問題です。


ブックライティングは、一見まとまった原稿料がもらえて良いようですが、実際やってみると、企画立案、構成打ち合わせ、下調べ、取材、そして執筆に相当な時間がかかり、実は時間換算するとそうでもないと言えます。


以下、参考まで、弊社が受託した案件の当初スケジュールです。


2月初旬      著者と顔合わせ 

2月~3月       ヒアリング&構成案作成

3月中旬         構成案アップ

3月下旬~5月中旬   原稿執筆のための取材

5月中旬            原稿執筆開始

6月下旬      本文原稿オールアップ


構成案はすでに完成している段階で、取材・執筆から請け負うこともありますが、いずれにせよ、原稿制作に関わる期間だけで半年近くかかります。ここからさらにデザイン入れや製本という作業が入るので、納品・出版まで、さらに数ヶ月かかります。一般的に本が1冊できるのに10ヶ月かかるといわれています。


問題は、この10ヶ月の間、ライターは無収入だということです。


某社は、納品(校了)の翌月末には全額支払ってくれるのでまだいいですが、ある会社は出版の3ヶ月後なので、ほぼ1年収入がないことになります。


さらに書籍の場合、締切はあってないようなものなので、書き直しなどで頻繁に締切が伸びます。実は上記の某案件は、6月下旬オールアップのはずが、12月のいまでも終わっていません。


1冊あたりの原稿料で、1年暮らせるくらいならこれでもいいでしょう。具体的な金額を上げるのは守秘義務もあるので差し控えますが(出版社や仕事の仕方、キャリアによっても違うし)、10ヶ月で割ったら、え、そんなもん?という金額です。だからそんなに美味しい仕事というわけではありません。


解決策としては、何本か時期をずらしながら請け負うか、単発記事の仕事を織り交ぜてやっていくしかないでしょう。ただし、時期をずらして受注しても、前期した通りスケジュールは余裕で変わるので、締め切りが3本同じに日に重なるということありえます(実際ありました。死にましたw)


唯一、ブックライティングで収入的にメリットが大きいのは、印税収入です。基本的に、ライターの収入は固定の原稿料だけですが、出版社によっては重版以降、一定の印税収入をもらう契約を結んでいます。もしヒットするとそれなりの金額が不労所得として継続的にはいってきますが、まあ滅多にありません。著名人のブックライティングを何本も継続的にやっている方は、相当な金額になっていると思いますが……。


お金の問題に関しては、あくまでも私見ですが、前金制や、建設業界のように進捗に合わせて都度支払う制度の導入など、支払いタームの工夫も必要ではないかと思います。個別にこうした契約をしているライターもいるようですが、業界全体でこういう流れになるといいんですけどね……。


こう考えると、ブックライティングという仕事は、あらゆる面で難易度が高いといえます。


しかし、ライターとして長く続けていきたいと思っている人は、年に1冊でもいいので、チャンスがあればやるべきだと思います。


理由は、以下の通りです。


1、需要がある

2、先の収入が見込める

3、計画力と持久力が身につく

4、専門知識が身につく

5、在宅でほぼ完結する

6、感性より経験がものを言う


1=黄金期は過ぎましたが、なんだかんだいってビジネス書の需要はまだ盛況です。ビジネスのノウハウを学びたいという人は無くならないからです。新しいノウハウを語りたいという成功者も相変わらずいます。そうした人は自分では本を書けないので、どうしてもブックライターの力が必要になります。


2=10ヶ月先まで収入が無いということは、うまくスケジューリングできれば、10ヶ月先の収入見通しが立てられるということです。ネタと取って記事にしてその対価をその都度得て暮らすライターは狩猟民族のようなもの。急に仕事が入ってこなくなることもあります。しかし、ブックライティングは、数ヶ月後にはそれなりのまとまった金額が入るという見通しが立つので、精神的に安定します。いわば農耕民族的仕事といえます。


3=ブックライティングで身に付く最大のスキルはこの2つが肝だと思います。しっかり構成を立てて、地道に書き進めていく。マラソンランナーもコースをまったく下調べせず、ペース配分も考えないで、見切り発車はしないでしょう。そうした計画性と根本的な自給力は、長く仕事をしていく上で必ず役立ちます。


4=著者の多くがその道の専門家であるということです。ブックライティングの取材は、そうした人からマンツーマンで授業を受けるようなもの。しかも、それを咀嚼して文章にまとめていく。書き終わったころには、にわか専門家として語れるレベルになっているはずです。私も、メタバースの本をブックライティングした時は、その経験をもとに、雑誌の特集などで何本もメタバース関連の記事の仕事を獲得しました。


5=著者へのインタビューは今やほとんどオンラインです。出版されてもリアルで会ったことがない著者の方はたくさんいます。取材スケジュールも、著者・ライター・編集者、それぞれで調整して決められますし、納期さえ守れば執筆作業は自分の好きな時間にできます。地方在住や、育児介護などで外出や時間の自由がきかないという人にはもってこいの仕事だと思います。


6=記事原稿は、その時々の流行などをもとに企画が立てられ、ライターにも時代にあった感性が求められす。その点、やはり若い人が有利であり、私もK-POPについて書けと言われても、書けなくはありませんが、正直自信はありませんし、それより興味がある人が書いたほうがいいでしょう。しかし、ブックライティングは、そうした感性より経験がものを言います。単純に年齢が上というだけでも有利な世界です。なぜなら、著者は経営者や学者など年長者が多く、あまり若いライターだと(どんなに筆力があっても)フィーリングが合いづらいという現実があります。つまり、歳と経験を重ねることがプラスになる仕事なのです。


とはいえ、ブックライティング1本に絞るのもまたリスクだと思います。


お金の面もそうですが、ずっと同じことをやっていると、思考が行き詰まるからです。先日鬼籍に入られた脚本家の山田太一さんも、キャリアの後半は小説も同時並行的に執筆されていましたが、徹子の部屋でそのようなことを言っていました。


特に「知的ドカタ」とも称され、精神力のタフさも必要なライターという仕事は、経済と精神、両方のバランスをとることが大事だと思います。つまり、いろいろな仕事を、適正価格で、無理なく続けていくということです。面白くもなに仕事を安い単価で延々とやっていても必ず煮詰まって続けられなくなります。


弊社では、プレスリリース、雑誌・ウェブメディア記事、オウンドメディア記事、ブックライティング、さまざまな案件を受託しており、多くのライターが活躍しています。

経験がない方でも、文字起こしやリサーチなどを通じて、少しずつ経験を積んでもらうよう、配慮しています。


弊社のライターチーム「きいてかくクルー」の一員になって、いろいろ経験してみたいという人は、ぜひ気軽にご連絡ください。



byおやびん


※冒頭のイラストはchatGPTにこの記事を読ませて作成しました

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