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巷で話題の「ブックライターいない問題」に対する考察その2〜未経験者NGって、じゃあいつ経験できるん!?問題〜

更新日:1月25日



ブックライター不足という話題がXのライター界隈でいま盛り上がっています。その理由について、特質の側面から考えてみたのが以下の第一回でした。



今回は、どうすればマラソンが走れるようになるのか、ブックライターになれるのかについて考えてみます。


残念ながら「試しに書いてみて……」などという寛容な出版社はありません。私がお付き合いしている某大手出版社の編集者は、「1冊も書いたことがないライターには発注しない」と明言しています。


でも、そうなると、じゃあいつ書けるんだ、ということになります。経験者NGならいつ経験を積む機会があるのでしょう。理論的には、書いたことがないライターが経験を積む機会はほとんどなくなります。にわとりが先か卵が先かって話です。


これはあくまでも私の推論ですが、そういう状況だから、一か八かで発注して、上手くいったら、そのライターに引き続き仕事を頼む、実績のあるライターの奪い合いが起こるl、でもライターは生身なのでこなせる量に限界がある、そのうち断られる、そして「書けるライターいない!」──こういう流れではないでしょうか。


ブックライター人材という側面だけから見ると、①仕事がひっきりなしのブックライター、②適正がなくて2度と仕事が来ないか懲りて2度と受けないライター、そして③全く未経験のライター、ざっくり分けると、この3タイプしかいないのではないかと考えられます。


これ、なんとかならないでしょうか。


どんな仕事でもそうですが、本来少しずつ経験を積んで、覚えていくのがセオリーなはず。ライターは個人事業主の典型のような仕事であり、実力主義的なのだから、そんなの自己責任だろ、という考え方もあるでしょう。特に同業者からすれば、ライバルを増やすことになる発想や行動はしにくいものです。


しかし、結局のところ、ライター人材の底上げをしていかないと、業界全体のメルトダウンにつながりかねません。「探してもろくなライターいないからAIでいいや」となりかねないからです。そうなったら、いま書けるライターにも悪影響が及ぶことは必至です。「やっぱり人に頼むと違うよね」となるためには、自分だけが良い仕事をするのではなく、ライター全体が良い仕事をしている状況を皆で協力して作っていくことが大事ではないかと思うのです。


では、どうすれば、ライター業界の中で、ブックライティングの経験を積めるのか。


いま、周りの若いライター志望の方から話を聞くと、ライタースクールで勉強したという人が増えています。最近は手軽にオンラインで受講できるものも増えているようですね(詐欺まがいのものも増えているようですが……)。スクールは、ライティングについての基礎知識を獲得するのには良いと思うのですが、経験を積むことにはつながりにくいと個人的には感じます。経験とは場数をこなすこと、つまりトライアンドエラーを積み重ねることであり、それについて適切なフィードバックを与えてくれるメンターがいることが条件だと思います。しかし、基本的にスクールは一方向的に知識を吸収するための場であり、課題や宿題などはあっても、お金の発生しない作業は緊張感が違うので、あまり身につかないと思います。


こちらも流行りのクラウドソーシング的な仕事をこなすのはどうでしょうか。これも、経験値の積み重ねにはあまり役立たないと思います。先方がちゃんとしたメディアで、フィードバックがあるのならいいのですが、一般企業の場合、担当者はまったくの素人で、良いかどうかは読者として分かるけれど、変種者としてフィードバックできなことが多いと聞きます。そうなると、ただ納品して終わりということになり、これでは、経験を積むというより、時間と体力と集中力を浪費しているに過ぎません。実際、ものすごく忙しいけど、何も成長していないという感覚の人も多いのではないでしょうか。


いっそ出版社や編プロの社員になる? しかし、この方法はかなり厳しいと思います。最近の出版社の編集部はライティング業務をアウトソーシングするのが当たり前になり、出版社でで働いても書く技術は学べたいというのがもっぱらの声です。編プロ(編集プロダクション)もライターを何人も抱えるだけの数や体力はそうないでしょう。最近はその存在自体あまり聞かなくなりました(昔はたくさんありましたけどね)。


そもそも、「そういうことじゃないんだよな」という巷のライターの声も聞こえてきそうです。つまり、がっつり社員になって働くのではなく、ライフスタイルに合わせながら、スキルと仕事だけを増やしていきたい……。そんな虫の良い話があるかと昭和世代は思ってしまいますが、いまはこうした働き方の方が現実的だし、おそらく将来的にはこうしたワークシェア的な働き方が主流になるでしょう。つまり、正社員としてがっつり働くことが特殊な時代になるのです。


では、そうした中で、どうすれば経験値を高めていけるのか?

フィールドで経験積みながら、ブックライティングのスキルを学べるのか?


今のところ、私が一番効率的だと思うのは、先輩のブックライターについて、文字起こしや下書き作成などを手伝う、というものです。


学ぶとは、真似ぶ、が語源です。教わるのではなく、仕事ができる人の仕事を身近で見ることが、一番身に付くと、私はこれまでの経験から思います。先輩ライターも、文字起こしや下書きを安く手伝ってくれるならありがたいはずです。


そのように少しずつ実績を重ね、信頼関係が生まれれば、「じゃあ取材もやってみる?」「全部書いてみる?」となるかもしれません。出版社としても、いざとなったらその先輩ライターがケツを持ってくれる(汚い表現でごめんなさい)ので、安心できます。


ただ、その先輩ライターが、そのように後輩を育てようという気持ちを持っているかが問題です。アシスタント的な感じで雇う、というのが一般的だと思いますが、基本的にライティングフィーは高くないので、アシスタント料を支払うと利益が減ります。とはいえ、タダ働きさせるわけにもいかないので、結局自分で全部やったほうがいい、という発想になりがちです(だから個人事業主が多いのでしょうね)。


私も、そんな高い原稿料を得ているわけではないのですが、会社を立ち上げた理由の一つに優秀なライター人材を多く育てたいというのがあるため、ある意味、身を削って若いライターが経験を積める場所をなるべく提供するようにしています。


一つ目は、文字起こし作業の依頼です。これは、ライター初心者向けです。述べ10時間ほどの取材音声を起こすのは大変ですが、相当な経験になります。ある編集者の方は、100本文字起こしをすれば一人前になれるとおっしゃっていますが、その通りだと思います。先輩ライターの取材の仕方がばっちり身につきます。


もう一つが、ブックライターデビューのサポートです。私が伴走することを条件に、経験の浅いライターをメインメインライターとして、出版社と契約してもらうのです。若いライターにとっては取材から執筆まで全部自分でできるチャンスです。いざとなったらベテランライターのアドバイスや手直しももらえます。出版社にとっても、最低限のリスクで人材を確保できます。私も、ライターの原稿料から手数料をもらうので、いくばくかの収入になります。三方よしってやつですね。先日1冊目目を納品した若いライターは「ものすごく大きな経験になった」と喜び、すぐに2冊目を受注しました。完全に独り立ちできるのも時間の問題でしょう。


次回は、お金の問題から、ブックライターがいない原因について考えてみます。


(つづく)


byおやびん


※冒頭のイラストはchatGPTにこの記事を読ませて作成しました


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