きいてかくタネ16粒め:つまらない会議を実のある面白い会議にする方法#後編
- きいてかく合同会社代表_いからしひろき
- 2月28日
- 読了時間: 4分

前回は3つのテクニックの一つめである「安心感」の作り方をお伝えしました。今回は、2つめのテクニックである「共犯関係」の作り方についてご紹介します。
会議に「共犯関係」が必要な理由
なぜ会議に共犯関係が必要なのでしょうか。会議は皆で意見を出し合うだけでは意味がありません。それぞれが納得いく答えを見つけるのがゴールです。多くの人はその答えの中身にこだわりますが、実は大事なのは「合意する」ということ。誤解を恐れずに言えば、そこまで革新的な答えじゃなくても、とりあえずその場で折り合えれば、会議の目的は達せられます。一旦前に進んで、おいおい解決していけばオーケー。なぜなら、一回の会議で全てがクリアーになるほど物事は簡単ではないからです。一歩でもいいから前に進むことが重要です。
では、どうやればその場で折り合うことができるのでしょうか。そこで必要となるのが「共犯関係」です。皆が同じことを考え、皆が同じリスクを背負っている、一蓮托生の関係。いわば「赤信号、みんなで渡れば怖くない」という状況を作るのです。仲間意識とも言えるでしょうか。
そのために重要になってくるのが、ファシリテーションです。司会者は、発言者の言葉を進行に上手く使っていく必要があります。具体的には、発言者の言葉尻をつかむのです。
「○○さんが言ったことは、まさにこれから議題にのせようと思っていたことで、核心をついた発言です。ありがとうございます」とか、「いま○○さんがこう言いましたが、これをさらに深めたいと思います」というように進めるわけです。これによって、「あなたが言ったことだよね?」「座長が上から下ろした議題じゃないよね」「だから皆で話し合う必要があるよね」というコンセンサスが出来上がるのです。
実はこれ、インタビューでもよく使っている技法です。インタビュー相手の言葉尻をつかんで、「まさにその通りです。では、さらに深掘りするために聞いていきたいのですが……」などと展開すると、一方通行の「尋問(ヒアリング)」ではなく、相互通行の「議論(ディスカッション)」のようになり、一緒に深掘りしていこうという雰囲気が生まれます。こうなれば、放っておいてもインタビューは面白くなります。相手も真剣に考えてくれるようになるでしょう。
会議でも、座長は発言者の言葉尻をうまくつかまえて、仲間に引き入れるようにしてください。そうすれば、ある程度のところまで議論が進んだら「この辺が落とし所だよな」という雰囲気になるので、妥協点も生まれやすくなります。もし共犯関係がないと、土壇場で「いや、おれは違うと思う」などと、異なった意見を言う人が現れたりして、うまくまとまらなくなってしまいます。仲間連れになるのは誰でもいやなので、実はそういう人は駄々をこねているだけかもしれません。
大事なのは、その場の議論に誰もが関わっていて、自分が主役なんだと思わせること。そうすれば、うまく議論は着地することができるでしょう。
ゴールのない旅は旅にあらず。会議も……
3つ目のテクニックは「ゴールを設定する」ことです。これが意外とできていない会議が多いのではないでしょうか。目的地のない旅は、旅ではなく放浪です。旅は目的地があるから安心して楽しめるし、事前に何を見たいか、食べたいか調べることもできます。会議も同様に、どこに向かっているのかわからない状態だと、どんなことを発言すればいいのかわかりません。この会議では何をゴールにすればいいのか、つまり、どんな答えが出てくれば良しとするのか、ある程度決めておかないと、全員が迷子になってしまいます。
インタビューも同じことが言えます。ノープランで質問をするライターはいません。記事を掲載する予定のメディアの特色に合わせて「この人にはこんな話を聞きたい。こんな話が出てきてほしい」とある程度目算をたてて挑みます。私はそれをインタビュー相手に「質問票」という形で事前に伝えています。そうすれば、相手も何を話せばいいのか分かるので非常に効率的といえるでしょう。
あとは、うまく発言をそのゴールに向かって誘導すること。アジェンダを用意することも大事ですが、くわえてインタビュー技術を利用したテクニックがあります。ただし、これはかなり高度なので、またの機会に譲りたいと思います。
会議にプロのインタビュー技術を取り入れてみる
いかがでしょうか。中身のないつまらない会議を身のある面白い会議にする方法。
ポイントは以下の3つでした。
1、安心感を与える2、共犯関係を作る3、ゴールを設定する
私たちプロライターがインタビューで使っている技術を用いたこれらのテクニックを、ぜひ今日の会議から取り入れてみてください。
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(きいてかく合同会社代表 いからしひろき)
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