きいてかくタネ12粒め:「クルマとインタビューの意外な共通点」
- きいてかく合同会社代表_いからしひろき
- 2月19日
- 読了時間: 4分

ひさしぶりのコラムです。
5月から始まる「魅力引き出しインタビュアー養成講座2期」の準備でバタバタしてました。少し目処がついてきたので、書いてみることにしました。仕事の原稿も楽しいですが、自分が思っていることを徒然なるままに書くのは物書きの原点ですので、やはり格別の楽しさがあります。
さて、本コラムのお題。「クルマとインタビューの共通点」というと、文字通り意外な組み合わせに思えるかもしれません。しかし、よくよく考えてみると、この二つには興味深い類似点があることに気づくと思います。
まず、クルマもインタビューも、単なる「手段」として捉えられがちです。クルマは目的地まで移動するための道具であり、インタビューは必要な情報を引き出すためのツールだと。確かにそういった側面はありますが、実はそれだけではないのです。
例えば、クルマで考えてみましょう。トヨタのカローラとレクサスを比較してみると、どちらも「移動手段」としては同じような機能を果たします。日本の交通法規を守る限り、レクサスに乗ったからといって東京から名古屋まで2時間も早く着くわけではありません。安全性についても、きちんと安全運転をすれば、さほど大きな差は生まれないでしょう。(いざという時の命の助かる確率はだいぶ違うそうですが、そもそも事故を起こさないようにすれば両車の実質的な死亡率の差は縮まるはず? そのあたりの細かいエビデンスは、すみません、目をつぶってくださいw)
ところが、実際の価格差は数倍にもなります。この差は一体どこから生まれるのでしょうか。それは「満足度」という要素にあると私は思います。
私自身、最近車検のために愛車をディーラーに預けました。代車として借りたのは、同じメーカーのコンパクトカーです。確かに移動手段としては何も問題なく、新しい年式なので細かい機能は進化していたし、むしろ燃費の面では優れていたのですが、なんとなく物足りなさを感じてしまいました。
具体的には、アクセルを踏んだ時の心地よい加速感、包み込むような座り心地、落ち着きのある内装、そして革シート特有の香り。これらは移動という目的には直接関係のない要素かもしれません。しかし、まさにこうした「乗り味」や「乗り心地」という部分が、大きな価格差を生む「満足感」の正体なのではないでしょうか。
同じことがインタビューにも当てはまると思います。
単に情報を引き出すだけなら、誰がインタビュアーを務めても大きな違いは出ないかもしれません。しかし、インタビューの本質は、人と人とが向き合って行うコミュニケーションにあります。質問の仕方、相づちの打ち方、会話のテンポ、雑談の引き出し方、そしてインタビュアーの身なりや声、場所の雰囲気まで、すべてが重要な要素となるのです。
本当に良いインタビューを受けた後は、まるでマッサージやサウナで体が癒されたような心地よさを感じることができます。頭の中が整理され、もやもやとした思いが言葉となって表現され、そこにカタルシスが生まれるのです。
実際、とある大企業の経営者から、インタビュー後に「いや〜、気持ちよかった。こんなに話したのは久しぶりだよ」というお言葉をいただきました。立場が上の人ほど自由に発言できないものですからね。ただしその後、広報担当者から「あの話とあの話とあの話はオフレコで!」と釘を刺されましたけどね(笑)
インタビューには、それだけの”体験”価値があるのです。
しかし現状では、個人がお金を払ってインタビューを受けるという文化は残念ながら根付いていません。多くの人々にとって、インタビューは取材の一環として無料で受けるものという認識が強いでしょう。そのため、例えば1時間10万円というような価格設定は、一見すると突飛に思えるかもしれません。
だからこそ、まずは多くの方々に質の高いインタビューを体験していただきたいと考えています。プロのインタビュアーによる話の引き出し方の素晴らしさを知っていただくために、弊社では個人を対象した1時間1万円という格安のお試しサービスを用意しています。(詳しくはコチラ)
将来的には、本格的な1時間10万円のプレミアムインタビューサービスの展開を目指しています。銀座のクラブで過ごす1時間よりもリーズナブルで、かつそれ以上の満足感を提供できるサービスを作り上げたい──このような新しい文化の創造こそが、AI時代におけるライターの生き残り戦略の一つになるのだと確信しています。
(きいてかく合同会社 代表 いからしひろき)
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