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きいてかくタネ:4粒め「自然までのラスト3時間をどう乗りこえるか」

更新日:2024年12月5日




仕事が忙しくなると「足りない!」と思うものが二つある。


一つは「感動」。こういう時は映画を観るに限る。本当は映画館に行きたいが、忙しいのだからそんな時間はない。もっぱら動画配信サービスをスマホで仕事の合間に見て「感動」を補充する。最近のお気に入りは韓国ドラマだ。


もう一つは「自然」だ。ライターの仕事は基本的にパソコンや机と向き合って行う。取材も最近はオンラインだ。ますます「自然」不足が高まっている。


なぜ人間には自然が必要なのだろうか。おそらく、長らく自然の中で暮らした記憶が遺伝子に染み付いているのだろう。人類が誕生してからこれまでの歴史で、コンクリートの箱の中で暮らし始めたのはごく最近だ。24時間に例えたら1秒くらいではなかろうか。単身赴任中のお父さんの心境にも近いかもしれない。


「自然に帰りたい」──一昨日の夜からそう強く思ってしまった。というのも、その夜は長野在住のライターさんとの会食。自然に近い環境での生活の話を聞いて、無性に自然が恋しくなったのだ。


さてどこに行くかだ。翌日は金曜日。いくらフリーランスとはいえ、いきなりまるっきりの休みをとるのは難しい。実は締め切りの原稿も1本手付かずだ。できれば午前中だけサクっと自然をチャージしたい。となると、低山&温泉、一択。


低山登山は巷でも最近のブームだ。近いところでは旅とライターの師匠である飯出敏夫氏が「日帰りで登れる温泉百名山」(集英社インターナショナル)を上梓したばかり。その取材記事を書き、紹介されている山にも登ってきたばかり。わかりやすく言うと「うずうず」している。


今住んでいる都内の自宅から日帰りで行ける低山といえば高尾山だが、わざわざ人混みに紛れにいくつもりはない。その近くにも金時山があるが、さすがに半日では降りてこれない。


となると選択肢は限られる。神奈川県秦野市の大山が頭に浮かんだ。江戸時代に流行した大山詣で知られる関東屈指の低山だ。標高は1,252メートル。こちらも高尾山のようにロープウェーを使うことができるので、日帰りで登山を楽しめる。しかし、最近のブームで人が多いと聞く。しかも、調べた限り、往復4〜5時間と意外と時間がかかる。


その点、西側中腹のヤビツ峠から山頂を目指すコースなら片道1時間半だ。ピストンで行って帰ってきても3時間。午前9時に登山口に立てば、ギリで午前中で帰ってこれる。よし、これにしよう!


しかし結論から言うと、登山はならなかった。登山口までは行ったのである。しかし、その時すでに時計の針は正午を回っていた。


なぜそんな時間になったのか。子供達の朝ごはんを作り、洗濯(共働き家庭では朝食と洗濯は私の担当)を済ませたら、午前9時を回っていた。そこから車を飛ばせばカーナビ上は1時間半だが、途中で渋滞にハマり、倍の時間かかってしまった。


つくづく都会に暮らすことのデメリットを感じる。物理的にはそうでもないけれど、こうした目に見えないさまざまな障壁があり、自然との実質的な距離があまりにも遠い。


かつて登山にハマった女性が仕事を辞めて山梨に引っ越したと聞いた。東京に住んでいたら登山口に立つまでにへとへとになる。当然の判断である。


とはいえ、ここまで来たのだから強行しようかと思ったが、冬は日が落ちるのは早い。「低山をあなどって低山で死ぬ」とはよく聞く言葉。まだ死ねない。娘二人の学費を稼がなければならない。


登山は断念したが、登山口から少し下の「菜の花台展望台」で、山頂に着いたら食べようと思った昼食をとった。コンビニで買ったおにぎりと味噌汁。少しガスっていたが相模湾を一望する景色を眺めながらのランチは格別だった。「あそこに見えるのは江ノ島ですよ」。横で双眼鏡を覗いていた年配の女性が教えてくれた。



しばしくつろいだ後、麓の温浴施設へ。天然温泉とあるが、成分表を見るといわゆる療養泉ではない。サウナの温度も低い。そもそも登山をしていないので、温泉のありがたみも薄い。やはり温泉百名山は、登らないと味わいがない。


帰りも結局軽い渋滞にハマり、東京に戻った時にはすっかり日が落ちていた。家の近くのファミレスで原稿を仕上げ、帰宅したのは19時半。なんとも中途半端な自然補充であった。


ラストワンマイルならぬ「自然への3時間」をどうするか。地方移住、あるいは2拠点生活を真剣に考える時が来たのかもしれない。とはいえ、娘は来年高校1年生。下の娘は小学5年生。自然との距離はそう簡単には縮まりそうもないのだけれど……。


(この原稿はAIをちょぴっと活用しました)

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