【一日一言 6/24(火】『書くことの効能』
- きいてかく合同会社代表_いからしひろき

- 6月24日
- 読了時間: 2分

取材で、また面白い話を聞いた。
バイリンガル教育で知られる大学で、英語と認知バイアス研究を専門とする先生だ。「日本語より英語で話したり書いたりする方が、論理的になれる」という。日本語は曖昧な表現でごまかせてしまうが、英語はストレートに伝えなければ伝わらない。だから英語を使うと、言葉を一つひとつ丁寧に選ぶようになる。学生が「英語だと言えたけど、日本語では言えなかったかもしれない」と言うこともあるそうだ。
なるほど、と思いながら聞いていたら、もう一つ面白い話が出てきた。
グループで何かを話し合う前、まず一人ひとりに自分の考えを書かせるという。書き終えたら、一人ずつ発表する。そうすると、多様なアイデアが出てきやすい。最初の一人が発言すると周りが意見を合わせてしまうが、先に書いてからそのまま読み上げると、他人に流されずに自分の考えを保持できる。普段は静かな人が、すごくいいアイデアを持っていることも意外と多いという。
これ、ビジネスの会議でも使える話だと思った。
書くという行為には、こういう効能がある。頭の中でぼんやりしていたものが、言語化されることで輪郭を持つ。日記を書く人がいる。ジャーナリングを習慣にしている人がいる。寝る前に「今日あったこと」をメモする人がいる。書き始めは「こう思っている」と確信していたのに、言葉を探すうちに「あれ、本当にそうだったっけ?」となることもある。書くことは、思考の実況中継であり、同時に思考の検証作業でもある。
そして書くことには、聞いたことを世に出すという役割もある。どれだけ良い話を聞いても、書かなければ誰にも届かない。なかったことになってしまう。ヒアリングや社内インタビューを「聞いて終わり」にしてはもったいない。書くプロセスを経ることで、話された言葉は形になり、さらに進化する。アウトプットまでして初めて、その対話は完成する。
だから僕は、インタビューライターの仕事を「きいてかく」と名付けた。聞くことと書くことは別々の作業ではなく、一続きの思考プロセスだ。その往復の中で、初めて見えてくるものがある。
そんなことを改めて気づかせてくれる取材だった。


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